毎月20日21日22日は「どら焼」の日です。
10月 「暖簾の不思議な力」
第二次世界大戦で荒廃してしまった京の食文化を復興させ、伝統の味を後世に伝えんと、76店の老舗が集まって結成した、京名物「百味会」の55周年記念展が、今月の15(水)・16日(木)に祇園の歌舞練場にて開催されます。 各店の名品はもちろんのこと、お茶席や茶屋も設けられておりますがその見所のひとつに、記念展示のコーナーがございます。 各店、著名な文化人とのゆかりの深い品を披露させていただいております。その中で弊店は、大正〜昭和初期にかけて、8代目が懇意にさせて頂いていた正三位勲二等元貴族院子爵 清岡長言様よりご染筆賜った「左市遺店」という書を展示させて頂きました。

9代目からは、清岡様とのお付き合いは途絶えてしまいましたが、書だけは大切に伝えられ、今も店内に掲げてございます。3年ほど前から、京都本店の限定販売で「平安左市」という菓子を作るようになりました。 その中に、清岡長言様の「左市遺店」の書体と、ご染筆いただいたことが、弊店にとって大変名誉だという8代目の文章を、菓子の由来書きとして入れております。すると、ある時、「その菓子を清岡長言様のご長男に贈りたい」と東京のお客様からお電話を頂きました。その方のおかげで私どもは、明治のお生まれで、93歳になられる、ご長男・清岡長和様と連絡を取ることが出来たのです。まもなく長和様は、現在お住まいの東京から、ご令嬢と本店までお越しくださいました。ご尊父の「左市遺店」をご覧になり、10代目とお話をされるお姿に清岡長言様と8代目の姿を重ね、私は、ただただ感動しておりました。ほんの3年前より、秋から春先のたった半年間、それも京都本店でしか販売しない菓子が、東京の長和様のお手元に届き、世代を超えて引き合わせたのです。 このご縁に、暖簾の不思議な力を感じずにはいられません。「百味会」はそんな不思議な力を持つ、京の食文化を代表する老舗の集まりです。是非、55周年記念展をご高覧いただけたらと存じます。

「平安左市」



