笹屋伊織のどら焼

毎月20日21日22日は「どら焼」の日です。

1月 「修行」

2004年の元旦の朝、私はある方をお待ちしておりました。
毎年欠かさず、元旦の朝に挨拶に来て下さる、北野天満宮の門前の粟餅処・澤屋さんの12代目、森藤與八郎さんです。今年こそは、当時のお話をお伺いしようと朝から待ち構えておりますと、にこやかな笑顔で今年もお見えになりました。

森藤さんは、大正11年生まれ。昭和12年頃にうちに修業に来られました。1年目は配達、2年目は御用聞き、3年目からやっと工場に入ることができ、その当時は、住み込みと通いの職人さんたちが60名ほどいて、仕事でいいかげんな事をすれば、布団にくるまれて階段から落とされたとか。8代目の女将さんから怒られると、怖くて煙突によじ登った事。お休みは月に2日で、森藤さんは北野天満宮の天神さんで賑わう25日にご実家の手伝うために休みをもらっていた事。厳しかったけど、振り返れば楽しい事ばかりでした。とお話し下さいました。

「修業はいつ終わられたのですか?」と尋ねましたら、「戦争が始まって中断したもんですから、私の修業はまだ終わってないんです。」と謙虚なお言葉に、感動しました。

そうして終戦後、ご実家の商売を再開された昭和25年から、毎年元旦にうちに挨拶に来てくださっているのだそうです。何度か先代に、澤屋さんに連れて行ってもらったことがあります。今も現役で、お客様の注文が入ってから目の前で森藤さんが粟餅を丸められます。森藤さんの律儀で謙虚な姿勢が、澤屋さんの商売の在り方に映し出されているように感じます。

和菓子

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